UAEが戦術転換をした3つの理由
サッカー関係者の中で良く言われるのは“PK戦というのは大会で次に進む権利を決めるためのルール”というもの。日本はサッカーでは負けなかったが、大会規定の中で勝ち上がる権利を得ることができなかったと。
ただ、大会連覇を狙っていたチームが準々決勝において、120分でも決着を付けられなかったことがこういう結果を招いたことは間違いない。
試合のデータを参照すれば、ボール支配率からシュート数、CKの数にいたるまで全て日本が上回り、ペナルティエリアに侵入した回数など、より勝負のポイントに踏み込んだデータまで日本が勝っていることを考えれば、試合後にアギーレ監督が発した「今日のゲームで勝利に値するのは我々だった」という言葉にも一理ある。
しかし、アギーレ監督は同じ試合後の会見で「サッカーというのはゴールを決めるゲームであって、今日は1-1という結果になった。こちらが1ゴールしか決められなかったから」とも語っている。直接的な要因は得点を相手より取れず、また早い時間帯に不用意な守備から1点を失ったことだろう。
気鋭のマフディ・アリ監督が率いるUAEは通常の[4-2-3-1]ではなく[4-4-2]を採用し、司令塔のO・アブドゥラフマンを右ワイドに開かせ、早いタイミングからDFラインの背後にボールを蹴る攻撃を取ってきた。イラン戦では67%のボール支配率を記録したチームが大きく戦術転換をしてきた理由は主に3つある。
中盤の支配力に勝る日本とまともにやり合うのではなく、力関係の中で速攻の意識を高めた方が、自分たちが効率よく得点を狙えるということ。
日本は攻撃時に左サイドバックの長友佑都が高い位置を取るため、ボールを奪った瞬間には必ず同サイドにオープンスペースがあること。
センターバックの吉田麻也と森重真人がDFラインの裏のカバーリングをあまり得意としていないことだ。
チームの中で最もスピードがあるマブフートをいつものウィングではなく高い位置に張らせたのも、そうした攻撃の効果を高めるためだろう。