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日本代表 10年前

決定力不足に泣いた日本。疑問の残る交代策と不明瞭だった攻撃の意図

text by 西部謙司 photo by Getty Images

豊田の投入、中途半端だった攻撃

決定力不足に泣いた日本。疑問の残る交代策と不明瞭だった攻撃の意図
PK戦の末敗退となった日本代表【写真:Getty Images】

 豊田の投入は納得できる。引ききって守っているUAEに対して、それを崩し切るだけの十分な創造性を日本はみせていなかった。スペースも時間もなくなる中、通常の攻撃で効果が出ていない以上、別の方法を試さなければならない。ハイクロスからこぼれ球を狙う力攻めに切り替える必要があった。ただ、難を言えばタイミングはやや遅かったかもしれない。

 古い話になるが、ユーロ92のオランダvsデンマークで日本と似た状況になったオランダのミケルス監督は後半からライカールトをトップに上げてハイクロスに徹した攻めに切り替えたのを思い出す。オランダはハイクロスから同点に追いついている(延長、PKで敗れたのは日本と同じだったが)。

 日本は柴崎の素晴らしいシュートで1-1とした。このゴール自体に文句はないのだが、豊田を入れたにしてはクロスボールに徹していたわけでもなかった。これはザッケローニ前監督のときにマイク・ハーフナーを投入してもハイクロスを使わなかったのと似ている。

 さらに付け加えれば、豊田を出すなら代えるのは岡崎ではなく香川でよかったのではないか。柴崎と長谷部でゲームは作れる。放り込むなら豊田と岡崎をトップに並べたほうが威力があったと思う。豊田を入れた意図はわかるが、プレーそのものはやや中途半端だった。

 2000年大会からベスト4を外したことがなかった日本だったが、PK戦とはいえ準々決勝敗退は大変残念な結果である。グループリーグの成績は過去最高で、内容的にも良い仕上がりをみせていた。UAE戦もとくに悪い出来でもなかった。しかし、引いた相手を崩さなければならないのは大会前からわかっていたことであり、結局はその課題をクリアできなかった。

【了】

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