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日本代表 10年前

UAEの“王様”が抱える守備の穴。アギーレジャパンは攻撃をもって攻撃を制することはできるか

text by 河治良幸 photo by Getty Images

攻撃をもって攻撃を制する

 日本はヨルダン戦では相手が中央で厳しく来たこともあり、ワイドにボールを散らし、サイドチェンジを織り交ぜながら高い位置までボールを運んで、そこから素早く中に入れるという形で立て続けにチャンスを作った。逆にUAEは中央がルーズになりやすく、吉田麻也、森重真人、長谷部誠、遠藤保仁のところで起点を作りながら、香川真司や左サイドの長友佑都に高い位置でボールを受けさせる形に持ち込める。

 グループリーグの3試合目でUAEと対戦したイランは自陣で守備ブロックを作り、ボール支配率68%を記録されながら、トップ下のオマル・アブドゥラフマンと1トップのハリルのホットラインを断ち、またウィングエリアからゴール前に鋭く飛び出してくるマブフートのスペースを消すことで、UAEにゴールを割らせなかった。

 しかし、日本は最初から後ろ向きの選択は取らないだろう。攻撃で高い位置にどんどんボールを運び、相手を後手に回すことで前からの守備が機能しやすい状況を作り出していく。ある意味で攻撃をもって攻撃を制する、「アグレッシブにボールを奪いに行くサッカー」(アギーレ監督)を実現するだけの充実感が今の日本代表にはある。

 とはいえ中2日の強行日程、しかも暑さが感じられる中での消耗戦ともなるだけに、交代選手や90分の老かいなゲーム運びが勝負のカギを握る。日本らしく主導権を握り、その中でしっかりとゴールを決めてリードを奪う。

 決勝トーナメントだけに、うまく行かない状況での対応が求められる試合展開も起こりうるが、まずは攻撃をもって攻撃を制する強気の姿勢で臨むことが、正確なポゼッションからオマル・アブドゥラフマンを起点に攻めてくる相手の持ち味を消すことにもつながるはずだ。

 これまでの中東3ヵ国ともスタイルの異なるUAEは難敵だが、日本代表が持ち前のチーム力を発揮できれば勝てない相手ではない。それを証明する試合になると期待している。

【了】

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