長谷部が警戒するUAEの“王様”
「今まで予選リーグで対戦した中にはいないレベルの選手だと思います。そこはもちろん気をつけたいですけど、逆に守備はそんなに良くない」
長谷部誠キャプテンはオマル・アブドゥラフマンに関して、メディアが繰り返し質問してきた最後にこう語った。
[4-2-3-1]で中盤のポゼッションを攻撃のベースに置くUAEはアギーレ監督が「たくさんいい選手がいて、ボールを扱うのがうまい3、4人いる」と語る様に、ボランチのエスマイールとアメル・アブドゥラフマン、ウィングのマブフートなど技術の高い選手が揃う。とはいえ攻撃の中心はやはりトップ下のオマル・アブドゥラフマンで、彼にいい状態でボールが入ったところから危険な攻撃が繰り出される。
そうした相手に対し、組織的な守備ではめて良さを出させないことも大事だが、日本が良い攻撃を仕掛けることができれば、同時に相手が持ち味を出しにくい状況を生み出すことができる。それだけの自信をチームが持っていることを代弁する言葉だ。UAEはプレッシングで高い位置からボールを奪いにくるが、実は1つ穴があり、それが10番にしてトップ下のオマル・アブドゥラフマンが君臨するエリアだ。
本来プレッシングというのは前から後ろまで、全体が連動してこそ機能するものだが、UAEの場合は中央の前目のエリアでのそれが緩くなる時間が見られる。つまり、長谷部をして「間違いなく彼が王様」と言わしめるテクニシャンの起用は守備の不安を伴うということだ。
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