試合をコントロールした熟練コンビ
「サイドは空いているので、そこを使っていこうという。中で起点ができなければ外で作るだけ」
完勝と言える試合で準々決勝に進出を決めた直後にも、遠藤保仁は淡々とプレーを振り返った。ヨルダンは[4-3-1-2]という布陣で、中央の吉田麻也、森重真人、長谷部誠、遠藤、香川真司のところをしっかりとマークしてきたが、日本は両サイドバックの長友佑都と酒井高徳を起点に、ウィングの乾貴士と本田圭佑を活用してワイドにチャンスを作った。
「サイドチェンジが1つの狙いでしたけど、そこから中を使ったり、CBやSBからサイドチェンジをして、そこがうまく行けばチャンスになっていましたし、フィニッシュの部分でも最後につながっていればというところがあった」
そう語る遠藤は主にボールサイドにポジションをスライドさせながら、インサイドにボールを引き出しては前後左右のフリーマンにボールを散らし、横にコンパクトなヨルダンのディフェンスに揺さぶりをかけ続けた。
実際、本田の先制点も岡崎慎司が倒されて得たリスタートの流れで、吉田が左に大きく展開し、一度相手ボールになった後のセカンドボールから遠藤、長谷部、乾とパスを通したところから、岡崎が放ったシュートのリバウンドを本田が押し込んだ形だった。
その遠藤の背後から攻守をコントロールする長谷部はアルサイフィのマークを逆に利用する様なポジショニングで、極力シンプルにワイドの組み立てを支えた。前半28分に自陣で大きなパスミスをしてしまったが、直後の素早いリカバリーで難を逃れると、その後は安定したパスさばきで攻撃にリズムをもたらし、同時にリスクを管理した。