苦悩する香川の姿に遠藤や乾も配慮
日本代表のユニフォームを身にまとった香川が、ここに至る前に最後に得点したのは、ブラジルW杯直前の昨年6月のザンビア戦(タンパ)だった。
昨季所属したマンチェスター・ユナイテッドで13-14シーズン無得点に終わった直後だけに、「親善試合でも1点は1点」と本人は努めてポジティブに捉えようとしていた。
ところが、ブラジル本大会では得点どころからシュートを打つ場面さえ巡って来ない。ギリシャ戦(ナタル)ではまさかのスタメン落ちとかつてない挫折を強いられ、初めてのW杯は無残な形で幕を閉じた。
昨年9月に発足したハビエル・アギーレ監督率いる新体制発足後も、インサイドハーフという新たなら役割に戸惑い、得点を奪えない自分に納得できない日々が続いた。
今大会に向けて千葉県内で合宿中に2015年元日を迎え、「いい年にするためにはやはり結果が必要ですから、アジアカップしっかりとモノにしていいスタートを切れるようにしたい」と意気込みを新たにしていたが、セスノックでの練習試合でもノーゴール。
いい感触をつかみきれないまま迎えた本番でも、再三の決定機を外しまくっていた。
ベテラン・遠藤保仁(G大阪)が「サッカーはゴールだけが仕事じゃない」と彼を庇い、長年の盟友・乾貴士(フランクフルト)が「真司のゴールは時間の問題」と発言をするなど、周囲は少しでも彼の肩の荷を軽くしようと配慮してきた。だからこそ、香川本人以上にチームメートが彼の1発を心から喜んでいるのだ。
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