「自分はこんなに応援されているんだな」
シュート数15対3、ボール支配率67.9対32.1。この数字を見ても分かる通り、20日のヨルダン戦(メルボルン)で、日本を相手を圧倒していた。だが、2015年アジアカップ(オーストラリア)に入って以来、パレスチナ、イラク戦で続けて露呈した決定力不足を、彼らはこの日も完全には払拭しきれなかった。
試合開始から一方的にゲームを運びながら、前半終了時点で奪えたゴールは本田圭佑(ミラン)の1点のみ。後半に入って清武弘嗣(ハノーファー)が送り出されてからも、なかなか試合を決められなかった。
重苦しい空気の漂った後半37分、日本代表を取り巻く全ての人々が待ち望んだ瞬間がついに訪れた。
ハーフウェーライン左寄りの位置から清武が鋭いスルーパスを出した。それに反応した途中出場の武藤嘉紀(FC東京)が左サイドを疾走。グラウンダーで折り返したところに絶妙のタイミングで飛び込んだのが、エースナンバー10・香川真司(ドルトムント)だった。
彼が右足で合わせたシュートはイラク戦の決定機同様、GK正面に飛んだが、そのまま運よくゴール右隅に突き刺さった。国際Aマッチ8試合ノーゴールというかつてない苦境に陥り、苦悩していた自分に待望の得点が生まれ、彼はパスを出してくれた武藤を抱擁。試合後には応援し続けてくれたゴール裏のサポーターに深々と頭を下げた。
「武藤が相手の股をしっかり抜いてパスをくれたので、そのチョイスに感謝したいです。自分のゴールをすごくみんなが喜んでくれたのは素直に嬉しかったですし、そういうところで心配をかけていたのかなと。
試合後にも横断幕を出されて自分はこんなに応援されているんだなと。サポーターやチームメートの存在の偉大さを改めて感じました」と香川はここまで支えてくれた多くの人々へ感謝の言葉を繰り返した。