幸福で特別な瞬間を味わうということ
新しいイタリア系アメリカ人オーナーのジェームス・パロッタ氏は首都のクラブを現金で購入するだけでなく、移籍市場での戦略的なマネジメントやいくつもの大規模なコラボレーション、ローマブランドを世界規模に拡大させるなど新たな方法でクラブを運営している。
彼はローマをよりモダンなクラブへと変貌させ、勝者のメンタリティを植え付けるつもりなのだろうか。
しかし、トッティのセルフィーを称賛したツイートや、ラツィオのクラウディオ・ロティート会長との確執を見ると、その印象はまるで正反対なものとなる。
かなり“ローマナイズド”されたパロッタ氏と、ルディ・ガルシア監督はクラブのプロセスを大きく変貌させた。
このフランス人指揮官は、2013年の夏にローマに加わり、数週間のうちに“村の真ん中に教会を戻した”のだ。(フランス語の表現で、物事を元に戻すということ)
そして、ローマは再びイタリアサッカー界の強豪となった。
愛想が良く礼儀正しかったガルシア監督は、1年半の間に大きな変身を遂げた。かつては「プロフェッサー・コーチ」と言われていたが、クラブのため非常に積極的な“スピーカー”となったのだ。メディアを利用して審判への不満を述べる姿は、ジョゼ・モウリーニョのそれと重なる。
このクラブの激しい守備は完璧に、そして自然に機能している。特に、歴史上のライバル(例えばラツィオやユベントス)に対しては。
しかし、トッティが行ったセルフィーは、ローマにとって最も重要なことを映し出している。幸福で特別な瞬間を味わうということだ。
選手にもサポーターにも愛されるクラブには、タイトルに勝るとも劣らない大切なことがある。この夜にトッティが掲げたスマートホンは、優勝カップと同様の輝きを放っていた。
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