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セリエA 10年前

優勝と同価値の“セルフィー”。ローマに受け継がれるクラブ愛。トッティが伝えた「重要なこと」

text by チェーザレ・ポレンギ photo by Getty Images

選手、サポーターに愛情が受け継がれるローマ

 それでも、ローマの2点目とあの歴史的なセルフィーが与えた印象は十分だった。25分にかろうじてチャンスを作ったが、ミロスラフ・クローゼのシュートをモルガン・デ・サンクティスがミラクルセーブで阻止したように、ラツィオが勝利に近づく、はっと息を呑むような場面もあった。

 すべての人は1994年12月4日の試合と同じだと確信しただろう。あの日、ユベントスはライバルだったフィオレンティーナに前半を2-0でリードされて折り返した。しかし後半、いくつかのチャンスを逃した後、ジャンルカ・ヴィアッリの2ゴールで同点に追いついた。

 だがトッティは違った。ヴィアッリはゴールを少し祝っただけで、いち早く試合を再開しようとボールをゴールからつかみ出した。それがアレッサンドロ・デル・ピエロの伝説的なゴールを生み、マルチェロ・リッピ監督率いるユベントスの歴史に残る優勝を可能にした。

 ビアンコ・ネリ(ユベントスの愛称)にとって9年ぶりのタイトルで、次のシーズンはチャンピオンズリーグ優勝も成し遂げた。

 ではなぜトッティのような行動が20年前のヴィアッリに見られなかったのだろうか。

 その答えは最初の段落にある。各クラブ、選手たち、サポーターがそれぞれ違った形でフットボールを楽しんでいるからだ。ローマサポーターの反応は、クラブへの愛情そのものだ。特にトッティのセルフィーによってそれはより強固なものになった。彼らにとってタイトルと同じくらいの価値があるものだ。

 ローマのこのような雰囲気は伝染性で、“過激な”セレブレーションの歴史は1980年代前半から始まった。チーム全体で、それからピッチからかなり距離のある客席の下まで駆けていったブルーノ・コンティや、パウロ・ロベルト・ファルカンが象徴的だ。

 最近ではファビオ・シンプリシオやアレッサンドロ・フロレンツィがスタンドへ駆け上がり、妻と祖母にキスをする場面があったが、それらはセリエAに限らず、他のどこのピッチでも見られない。

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