負傷を乗り越え、再び日本代表として復帰
22歳だった2006年2月のアメリカ戦(サンフランシスコ)で国際Aマッチデビューを飾ってから足掛け10年。長谷部はつねにトップレベルの舞台で戦い続けてきた。
若い頃は誰もがそうだが、自分のことだけで頭がいっぱいになりがちだったが、2010年南アフリカW杯直前に岡田武史監督からキャプテンマークを託されて以来、時に厳しさを持ってチームや仲間を引っ張ってきた。
「若い頃は自分のためという部分に重点を置いていましたけど、いろいろ経験して、いろんな人の支えの中でやったことで、少しは周りのことも考えられるようにはなったかな」と彼は自身の変化を客観的に分析していた。
このように周りの支えのありがたみをより強く感じたのは、ちょうど1年前に右ひざ外側半月板損傷という大ケガに直面したからだろう。30歳の誕生日を迎えた時、彼は手術を終えて病院のベッドで静養していた。
「時間が経つのが早く感じますね。ついこの間のような気がしますし」と本人はサラリと話したが、リハビリ期間の苦しみは凄まじいものがあっただろう。
ブラジル大会直前も全身に張りが出て別メニューが続き、本番の出場も危ぶまれた。最終的にピッチには立ったものの、本調子とは程遠いパフォーマンスに終始。「キャプテンは若い世代に譲りたい」という発言も飛び出した。
アギーレ体制発足後も昨年9月の最初の合宿を負傷で離脱。かつてザックジャパン時代の田中マルクス闘莉王(名古屋)のように、そのまま代表から外れるのではないかという見方もあった。
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