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セリエA 10年前

失われた攻撃の形。本田不在で崩壊したミラン、好調序盤と“真逆”のチームに

text by 海老沢純一 photo by Getty Images

右サイドに限定さ入れた「左利きの右ウイング」チェルチ

 リーグ戦最近3試合、ミランが奪った得点はサッスオーロ戦のポーリとトリノ戦のメネズの2点。
 
 メネズは、PKで得点を挙げているものの、それ以外は決定機すら訪れることなく試合を終えている。その理由は、やはり攻撃の形が出来ていないことが挙げられる。

 まず、2014年の前半戦に最も機能していたのは、本田が右サイドから中へ侵入する形だろう。

 トップのメネズが下がることで空いた中央のスペースに本田が侵入し、本田が中へ移動することで空いた右サイドのスペースにアバーテが攻め上がる。さらに、エル・シャーラウィが左サイドを攻め込んで、中へ侵入した逆サイドの本田へクロスを入れる。

 こうして多くの得点を生んできた形が、本田の不在によって消滅してしまった。

 サッスオーロ戦ではボナベントゥーラが右ウイングに入ったものの、満足なパフォーマンスができず、トリノ戦ではニアングが入ったものの、こちらも機能せず。

 この試合では、インザーギ監督は新加入のチェルチをコッパ・イタリア5回戦に続いて右ウイングで起用した。

 そのチェルチは、本田と同じ「左利きの右ウイング」。それだけに、右サイドから中央への侵入や、切り込んでのシュートなど、役割の面でも本田と同様のものを期待されていたはずだ。

 しかし、出場した前半45分のプレーエリアを見ると、アタッキングサードの中央が16%。一方で、同エリアの右サイドが68%と大きく上回った。

 開始3分に切り込んでからのシュートを放ち、30分にはエル・シャーラウィのクロスにゴール前へ走り込んだものの、効果的な動きを見せたシーンはこの2回のみ。「左利きの右ウイング」が中央を狙えず、プレーエリアを右サイドに限定された状態では、相手にとっても全く危険な存在とはならないだろう。

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