監督が示唆するローテーションの意図
また、16日には右SBのバックアップのクリス・ハードが大会を離脱することが決まった。オマーン戦の事前練習時に痛めたアキレス腱の回復が思わしくなくての決断だが、この離脱を受けて、サッカルーズは残りのキャンペーンを22名で戦うことを余儀なくされる。
現状、右SBはイヴァン・フラニッチが万全なので大きな問題にはならない。しかし、そのフラニッチにもしものことがあった時には、本職ではないトレント・セインスベリーやマーク・ミリガンがその穴を埋めるしか手立てが無く、今後の不安要素になってくる。
今大会に入ってからポスタコグルー監督は、選手起用が主力に偏らないようにしたいという意図の発言を、まるで自らに言い聞かせるかのように何度も口にしている。その表れとして、2戦目のオマーン戦では初戦が完勝だったにも関わらず、ケガ以外の理由で2人の選手を変えてきた。
前日会見でも「選手のローテーションは、皆にプレー機会を与えるためにやっているわけではない。全ての相手はそれぞれ異なる試練を我々に与えてくるので、我々が(どんな相手にも)やるべきは、常にエネルギーに満ち溢れた試合をすること。大会を通じて核になる選手のグループだけで戦うやり方は通用しない」と、今後も特定選手への疲労蓄積を考慮してのフレキシブルな選手起用のポリシーを明確に示した。
実際問題として、既に決勝トーナメント進出を決めているだけに連日の高温多湿のコンディションの中で疲労の溜まっている選手の酷使は避けたい。サッカルーズの中でこの2試合フル出場をしているのは、GKのマット・ライアンを除けば、CBコンビのマシュー・スピラノヴィッチ、セインスベリーのコンビに、先述の右SBフラニッチを加えた3人しかいない。
スピラノヴィッチは、オマーン戦で既にイエローカードを一枚もらっており、監督に疲労も考慮したうえで大事を取らせるという選択肢がないわけではない。しかし、攻撃陣に比べて安定感を欠く守備陣のパフォーマンス向上には、コンビネーションの成熟が必要なだけに、守備陣にはもう少し無理を強いざるを得ない。