求められる臨機応変さ
そうしたスタイルの中で、中盤やウィングが流動的なポジショニングで相手の守備を崩していくことになるが、攻守のバランスが抜けてしまっては高い位置で攻めていても、イラクに突かれるリスクが大きくなる。清武弘嗣は「流動的と言っても基本的なポジションがあるので、そこを崩したら誰かが埋めるというのをしないと、守備がぐちゃぐちゃになっちゃうので、そこはみんな意識して統一したい」と注意をうながす。
守備は前からボールを奪いに行くのが日本の基本スタイルだが、イラクは中盤でボールを回しながら、サイドバックがボールを持つと力強いアーリークロスやクサビからの仕掛けなど、攻撃にバリエーションがあるため、中盤の3人も臨機応変の対応ができないと守備が後手に回ってしまう危険がある。高い位置でボールを奪うことにこだわり過ぎず、相手の出しどころ潰していくことも求められる。
試合の流れは刻一刻と変わり、日本が試合の主導権を握る時間帯もあれば、イラクが優勢になる時間帯も出てくるだろう。現地は試合時間の19時でも気温が30度前後になると予想されるだけに、ペース配分も試合を左右する重要なファクターになる。
「(アギーレ監督は)ピッチの中でうまく行ってなかったら、自分たちの中で変化を加えていいと常に言っている」と言う長谷部は「自分たちがどれだけ考えて、うまく行かない時にどう良い方に持って行くか」と指揮官の指示待ちではなく、自分たちで解決していく姿勢の重要性を語る。ここまで継続してきたコンセプトをベースにしながら、試合の中で選手たちがどう判断して勝機を掴むことができるか。イラクというタフな相手に対して、この一戦はアギーレジャパンの試金石となる。
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