カギは中盤の攻防
従来はサイドからのアーリークロスやカウンターにスピードのあるFWや長身選手が合わせていく伝統が強かったイラクだが、90年代生まれの選手を中心としたチームは中盤でパスをつなぎ、コンビネーションを織り交ぜた攻撃を得意としている。ただし、ディフェンスやイーブンボールにおけるボールコンタクトは非常に強く、相手のボール保持者に自由を与えない。テクニカルでありながら、ハードでタフなチームが現在のイラク代表だ。
日本代表のアギーレ監督は「非常にインテンシティーの高い試合になる」と語ったが、特に中盤の攻防は勝負を左右し得る。日本は代表150試合目となる遠藤保仁と長谷部誠、香川真司の3人が中盤のトライアングルを形成する。イラクはヨルダン戦と同じなら、[4-2-3-1]の2ボランチにヤセル・カシムとアブドゥラメール、トップ下にはアブドゥル・ザフラが入る。
イラクの攻撃を組み立てるのはカシムで、正確なテクニックと非凡な攻撃ビジョンを備えながら、縦に突破する能力にも優れる選手だ。そのカシムを補佐するアブドゥラメールはシンプルな展開とルーズボールの奪取力が持ち味で、アンカー的なポジショニングでDFラインの手前をプロテクトする選手だ。アブドゥル・ザフラはFW登録だが、周りをうまく使いながらチャンスの起点になれるタイプの選手で、攻撃的な選手にしては守備のコンタクトが強い。
攻撃ではパスが正確な上にボールキープ力が高く、守備は時にファウルをいとわないフィジカルコンタクトでボールを奪いにくる。長谷部も「玉際で戦うという部分では前のパレスチナ戦とは違う試合になると思いますし、そういう意味での強度という部分はこの試合は上がる」と気を引き締めている。