冴えわたるポスタコグルー采配
後半に入ってもサッカルーズの選手には動きの衰えは見えなかったが、50分にポスタコグルー監督が動く。一気に2枚の交代カードを切り、ケーヒルに代えてFWトミ・ユリッチ、そして攻撃的MFルオンゴに代わってベテランのマーク・ブレッシアーノを投入。この交代は、どちらも同じポジションでの選手の入れ替えで、特に戦術的なものではなかった。
むしろ、先日のインタビューでレギュラー選手を酷使して3試合目のスペイン戦でのパフォーマンスが著しく落ちた先のW杯での失敗から学び、今大会では選手を可能な限りはローテーションで起用して疲労の蓄積を避けたいと語っていたのを、さっそく実行したかたちだ。
そして、ここでも交代出場でチャンスを貰ったユリッチが結果を出す。70分、左ウィングのマシュー・レッキーが右足のアウトサイドで蹴った素晴らしいボールを、ユリッチが飛び込んで押し込んだ。これがこの日のダメ押しの4点目となり、オマーンの息の根を完全に止めた。
その後、77分には得点は無かったものの1アシストと質の高い動きで存在感を発揮したレッキーを下げ、この大会でまだ出番の無かったトミー・オアに試運転の機会を与えた。
とにかく、この日のポスタコグルー采配は冴えわたった。先発に抜擢したマッカイ、ミリガンが共にゴールを挙げ、素晴らしい動きで勝利に貢献した。さらには、次代のエース候補生に大舞台での経験を積ませたいとの思いからのユリッチ投入には、彼へのポスタコグルー監督の期待の大きさが伺える。絶対的なカリスマで、この日はキャプテンも務めたケーヒルを早めに替えてまでして投入したユリッチはきっちりとゴールを決め、監督の信頼にきちんと結果で応えて見せた。
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