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日本代表 10年前

大勝したパレスチナ戦で見えた攻撃の形とクオリティの課題

text by 河治良幸 photo by Getty Images

課題となるサイドバックの駆け引き

大勝したパレスチナ戦で見えた攻撃の形とクオリティの課題
試合の課題について語るDF酒井高徳【写真:Getty Images】

 長友の攻撃力は日本の大きな武器だが、もう少し右の酒井がタイミングを見て高い位置を取り、長友を一時的に下げさせることでビルドアップの幅を広げ、左右の的を絞らせない形を取っていきたいところ。この試合では早い時間帯に得点が入り、そうした駆け引きの重要性が薄まっていたこともあるが、接戦になるほど左右の揺さぶりが大事になる。

 またDFラインから縦にボールを付ける局面でも、2つの得点シーンの様に、シンプルにサイドスペースを使えた場合、あるいは遠藤が1クッション絡んで多方向に散らすパスが入れば効率よくチャンスにつながる確率が高かったが、相手の守備が揃っている状況で岡崎や本田に縦のクサビを入れると相手のプレッシャーにあいやすい。

 パレスチナは2トップとボランチの間が空きやすく、ディフェンスにカットされてもルーズボールやセカンドの多くを日本が拾えたため、カウンターを回避できると同時に、そこから二次攻撃につながった場面もあったが、イラクやヨルダンはそこでボールを奪い、危険なカウンターにつなげてくるかもしれない。

 アジアカップの初戦からアギーレ監督の目指す攻撃の輪郭が見られたのは勝ち点3と共に確かな収穫だが、そこに深みや幅、バリエーションといった部分でどう肉付けしていけるか。アジアカップの中でも試合が進むほど、相手が強くなるほど、そのクオリティが問われてくる。

 また交代選手が入り、途中から遠藤が下がった後半は相手が完全に引いたこともあるが、ビルドアップからスイッチを入れる部分が散漫になってしまった部分もある。ここまで紅白戦などでスタメンとサブを明確に分けて連携を高めてきたが、そろそろ交代選手を想定した組合わせなどを練習に入れ、共有をレギュラー間で深めるだけでなく、ベンチに広げていく作業も必要なのではないか。

【了】

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