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日本代表 10年前

大勝したパレスチナ戦で見えた攻撃の形とクオリティの課題

text by 河治良幸 photo by Getty Images

理想的な2点目を奪う一方で課題も

 2点目は本田のキープから右に開いた吉田、中央の長谷部とつなぎ、左のワイドで受けた森重が縦にスプリントする長友にフィードを通し、ショートクロスを乾がファーに浮かせると、香川の鋭いシュートを岡崎が頭で当ててゴールネットを揺らした。

 こうした形でサイドを突いた時に、同時的に3~4人の選手がゴール前に走り込むのはアギーレ監督の方針を表したものだ。この場面ではニアでクッションになった乾に加え、中央に岡崎、ファーに本田、その手前に香川が入ってきており、しかも動きのある状態でクロスに合わせようとしていた。

 ボールを高い位置で奪い、チャンスがあればショートカウンターを試みるが、基本的にはDFラインにアンカーが関わる形でボールを動かしながら、高い位置に縦パスを入れてスピードアップするのが攻撃の基本で、そこに状況を見ながら遠藤が絡むことで、相手のディフェンスに的を絞らせない様にしている。

 この2点に加えて何度かいい形を作ったが、アギーレ監督が「我々に欠けていたのは、前半はスピードだった」と振り返る様に、テンポとポジショニングの問題からビルドアップが詰まり、危険エリアやタイミングでボールを失う場面もかなりあった。

「試合全体で見た流れは良かったと思うけど、ところどころで自分もボールを失ってしまったり、カウンターになりそうなボールの奪われ方をした場面があったので、そういうところを突き詰めないと次はやられる」

 そう語るのは右サイドバックの酒井高徳だ。サイドバックは左の長友が高めのポジションを取り、酒井が低めにステイする時間が長かったが、吉田などからボールを受けたところから、出しどころを限定された。そこで素早く中にリターンして揺さぶるプレーが効果的だったはずだが、長友と酒井の位置が高めと低めで固定していたことも、ビルドアップの幅を狭める要因となった。

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