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日本代表 10年前

「どれだけ走れるか、犠牲になれるか」。初戦パレスチナ戦へ、長友が見せた悲壮な覚悟

text by 元川悦子 photo by Getty Images

溢れる自信を口にしていたブラジルW杯

 けれども、どうしてもという取材陣の強い要望を受け、ようやく話す覚悟をしたようだ。

「今まで? 集中したいってのもありましたし、僕が喋ることでチームのため、自分のためになるならね、どんどん喋っていきたいと思いますけど…」と彼は切り出した。

 そして「1つ僕が今、強く思っているのは、どれだけチームのためになれるかっていうところです。W杯で自分のエゴの部分だったり、自分の中の理想のサッカーを求めすぎたのかなと。

 そのエゴの部分が、チームのために犠牲になるって部分を上回ってしまうと、結局、いいプレーはできないし、チームが1つになることはムリかな、難しいかなってことを僕自身、感じているんで。

 今回はチームのためにどれだけ走れるか、犠牲になれるか、そういった部分を課題にも置いていますし、それを1人1人持てるようになれば、今の日本の力なら自然に頂点にいれるんじゃないかと思います」と長友は心の奥底に抱えていた素直な思いを吐露した。

 確かに、2014年ブラジルW杯前の長友はつねに明るく饒舌で、報道陣の質問にも言葉滑らかだった。

「2010年の僕は、結局は守備で相手を止めてっていうことを意識してずっとやってきましたけど、今は逆に相手が僕を止めないといけない状況に来ていると思いますけどね」「今は仮の長友で、これからW杯で本物の長友佑都を見せられると思いますよ」などと、2度目の世界舞台を控えた彼は自信満々だった。

 長年の盟友・本田圭佑(ミラン)とともに「W杯優勝」という大目標を掲げたのだから、そのくらい大胆な発言をするのも決して不思議ではなかった。

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