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日本代表 10年前

日本は前回の失敗を活かせるか? 難しい初戦で求められるリスク管理と長谷部のキャプテンシー

text by 河治良幸 photo by Getty Images

ヨルダンと似た部分があるパレスチナ

 ヨルダンの先制ゴールが生まれたのは前半45分だった。中央からのロングパスを右サイドで7番のアメルが受けると、左サイドバックの長友佑都がアプローチをかけるが奪えない。

 長谷部と今野も行ったところで中のハサンに戻され、前を向かれたところで遠藤保仁がスライディングをかわされると、左足のミドルシュートはブロックに行った吉田の左足に当たり、GK川島永嗣の逆を突いてゴールネットを揺らした。

「あの失点で難しくなった」とザッケローニ前監督が振り返った失点のあと、守備を固めるヨルダンの前に、攻めても攻めても相手ゴールをこじ開けられないまま時間が過ぎ、迎えた後半ロスタイム。

 左からのコーナーキックで香川がシュートコーナーを選択し、手前で受けた長谷部の右足クロスはファーサイドに飛ぶ込む吉田のヘッドにピタリと合う形で、起死回生の同点ゴールが生まれた。

 土壇場に追い付く形で何とか勝ち点1を獲得した日本代表。試合後にはザッケローニ前監督が選手たちに戦う姿勢を問いかけ、長谷部誠キャプテンの呼びかけで選手ミーティングを行い、気を引き締め直した。

 結果的にはあの試合がチームを1つにする契機になったとも言えるが、今回は当時を経験した選手が揃っており、同じことを二度繰り返す必要は無い。

 [4-4-2]をベースとするパレスチナは攻撃のタレントこそヨルダンと違うが、中盤とDFラインでゴール前をしっかり固めながら、敵陣のスペースにボールを出していくスタイルは似ており、一発の得点力を秘めている部分も同じ。日本の攻撃時間が長くなる中で、ゴールを狙いながら、同時に全体としてリスクを管理していく必要がある。

 アギーレ監督はミーティングなどに多くの時間を割くタイプの監督ではなく、細かい確認作業などはある意味で、選手間の日頃からのコミュニケーションに委ねられているところはある。ザックジャパンから引き続き、キャプテンマークを任される長谷部は「(選手間で)必要であれば話してもいいと思います」と語る。

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