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日本代表 10年前

エゴイストからフォア・ザ・チームへ。紆余曲折を経て成長遂げた乾貴士

text by 元川悦子 photo by Getty Images

波乱万丈のキャリア。精神面で成長

 2006年正月の高校サッカー選手権で全国制覇した野洲高校を代表するテクニシャンとして名を馳せ、横浜F・マリノスからC大阪へ移籍した頃の彼は生粋のドリブラーで、あくまで自分を前面に押し出すタイプだった。

 切れ味鋭いドリブルと突破力があったから、2011年夏に移籍したボーフムからブンデスリーガ1部のフランクフルトへステップアップすることができた。

 そのフランクフルトでも1年目は33試合出場6ゴールとまずまず順調だったが、2年目の昨季は好不調の波が大きすぎたせいか出場機会が激減。外からチームを見る苦しい立場を味わった。こうした紆余曲折が彼自身の考え方を微妙に変化させたところはあっただろう。

「自分の変化? ドイツでいろいろあったことも影響があるんじゃないですかね。それに僕はA代表でこういう大きい大会が初めてなので、絶対に優勝したって気持ちは強いです」と本人も言う。

 ハビエル・アギーレ監督率いる新体制の日本代表には、乾と同世代の選手が非常に多い。練習後に本田圭佑(ミラン)や長友佑都(インテル)、香川らと話し合う場面も目につく。

 とりわけ、同じドイツでプレーし、昨季15点、今季も前半戦だけで8点を挙げている岡崎慎司(マインツ)から学ぶところは少なくないはずだ。

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