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代表 10年前

サッカルーズ、“再生”の夜――。2つの果実を得たポスタゴグルー改革

text by 植松久隆 photo by Getty Images

若手を抜擢した指揮官とそれに応えた選手達

 まず一つ目は、先発メンバーに、ある程度は予想されていたとはいえ、22歳のMFマッシモ・ルオンゴが起用されたこと。並の監督であれば、同じポジションのベテランMFマーク・ブレッシアーノを中東でのプレー経験や国際大会での豊富な経験を買って起用するのかもしれない。

 しかし、ポスタコグルーは違った。既に今大会後の代表引退を表明している功労者ではなく、現在、イングランド3部でプレーする22歳に大一番での攻撃の中心を担わせた。そして、ルオンゴはその監督の起用に1ゴール1アシスト、この試合のMOMに選ばれる活躍で応えた。

 そのルオンゴは、後半40分にブレッシアーノとの交代でベンチに退いたのも非常に象徴的だった。試合後の会見では、あまり特定の選手を褒めるようなことを言わないポスタコグルーが「彼は、我々がここ1年で成し遂げてきたことの最大の恩恵を受けている選手の1人だ。トレーニングを見ていても、準備が出来ているし、素晴らしいと感じさせられた」と自らが発掘した若手の活躍に喜びを隠さなかった。

 そして、センターバックにはポスタコグルー体制下でレギュラーの座を長らく確保してきた30歳のアレックス・ウィルキンソンではなく、23歳のトレント・セインスベリーが先発。彼と26歳のマシュー・スピラノヴィッチのペアが、現時点での監督のファースト・チョイスであることが明らかになった。セインスベリーは、他のバックラインの選手との連携面で若干の向上の余地を残すが、持ち味の読みの鋭さと素早い動きで90分を大過なく過ごす合格点の動きを見せた。

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