意地とプライドを示すことが先輩への恩返し
自分たちのボールになった瞬間にゴールへの軌道を予測しながら一気に前線へ飛び込んでいっても、ボールを奪われたらすぐさま守備に回らなければいけない。そういうムダ走りを極力減らすためにも、彼にいいボールを供給してくれる人間を可能な限り増やさないといけない。
本田自身はインサイドハーフがボールを持った瞬間を特に重要視している。つまり、それは遠藤保仁(G大阪)と香川真司(ドルトムント)との関係である。
「彼らが持った時は一番、得点率が高まると思う。前線の3人は彼らがボールを持った時にどこに位置しているか。そこから動き出すというよりは、ボールを持った時点で勝負あったというポジションを取っておくのが重要ですね。
ただ、代表は練習できる時間が少ない。普段、真司はドルトムントで、ヤットさんにしてもガンバでずっとやっていて、前線の選手も違うでしょう。やはり癖とかをもっと見極めようとしないと、簡単に相手に合わせられるものでもないなとは感じます」
確かに代表というのは、何年一緒にプレーしていても、断続的にしか活動しないから、コンビネーション確立は難しい。けれども、本田はそれをやり遂げなければならない立場ということを嫌というほど分かっている。
「あと3日ありますけど、十分ですよね?」と中山氏に問われた彼は、こう答えた。
「それはプロですからね。十分だと言えるようにしないといけないんじゃないかなと思っています」と。
こうした代表の意地とプライドを示すことが、かつて日本を世界へと導いた先輩への恩返しだと、本田は考えていたはずだ。そんな力強い言葉通り、初戦ではゴール、そして勝利という結果を引き寄せることが連覇への第一歩となる。
【了】
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