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香川真司 10年前

香川の言葉で振り返る前半戦。徐々に膨らんだ違和感、チームは奈落へ。それでも残された復調への希望

text by 本田千尋 photo by Getty Images

失った先発の座。周囲の信頼を得られず

 ボルシアMG戦の後に香川は、周囲のスピード感への不慣れから来る、「コンビネーションという意味では凄く、まだまだ課題を感じています」という言葉を残している。

「手応え」を感じながらも、「パーフェクト」とまでは行かないコンディションと連係。そして香川は「まだもう一つ信頼されていない」とも言う。

 仮に昨季のように、チームが上位に留まっている状況であったなら、その流れの中でコンディションと連係を高めながら、周囲からの「信頼」を徐々に掴み取っていけたのかもしれない。

 しかしチームは絶体絶命の状況にあった。18位と最下位で迎えた12月5日の第14節ホッフェンハイム戦、トップ下に起用されたのは、ギュンドアンだった。

【コンディション】、【連係】、【信頼】、その3点で、香川ではなくギュンドアンに軍配が上がったのだろう。ギュンドアンは結果を残した。捨て身のダイビングヘッド。ホッフェンハイムに1-0で勝利する。それでもドルトムントは、暗い穴の底から抜け出せなかった。

 13日第15節、ヘルタ・ベルリン戦、0-1で敗北する。17日第16節、ボルフスブルク戦、2-2のドローに終わる。いずれの試合も、香川に出場のチャンスは巡ってこなかった。

 そして前半戦最後の20日第17節ブレーメン戦、ようやく後半から出場の機会が巡って来る。しかし【コンディション】、【連係】、【信頼】、その3つを十分に満たしていたとは言い難かった。

 アウェイに詰め掛けたファンから「カガワ・シンジ」の歌声が聞こえて来ることは無かった。1-2で敗北したドルトムントは17位の降格圏で、前半戦を折り返した。

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