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【佐山一郎×後藤勝 “サッカー狂”特別対談】フットボール・ライティングの地平線 第3回「記事になった原稿は、すべて本になることを目指さないとダメ」

text by 後藤勝 photo by editorial staff

「作品化」につきまとう宿命

後藤 何か変えないといけないことはたしかですね。そのためにまず一歩を踏み出したわけだから、もうこのまま進むしかないと思っています……なんだか安倍晋三の「この道しかない」みたいな言い草だけれど、杭は打ち込んでいる。

佐山 あまり思い詰めずに望遠鏡を逆さまに覗いてみるような気持ちの余裕も大切だね。2015年は明けていきなりアジアカップで、そのあと2月には、『第2回サッカー本大賞』と『東京国際フットボール映画祭』(※2)。つらいつらいと言いつつも、荒波をひとつずつ乗り越えていくのが大切であり、またそれが「作品化」につきまとう宿命なんだろうな、と思う今日この頃。今日はいろいろありがとうございました。

※1 『サヤマ・ペーパーバックス』http://tougijo.tumblr.com/
作家・書評家の佐山一郎氏が監修する選書シリーズ。今回デジタルリマスター完全版として復刊した初期の代表作『闘技場の人』は、「闘いの現場」にフォーカスをあてたスポーツ・ノンフィクション集です。1992年発売の本書に全篇にわたって補筆・解説文の追加などを行った。今後は既刊書のデジタルリマスター版の刊行を中心に月1冊のペースで刊行していき、新しい書き手の発掘・発表やトークイベントとの連携など、新たな試みを推し進めていく。

※2 東京国際フットボール映画祭
2月7日(土)、8日(日)、11日(水)に秋葉原UDXで開催するサッカー映画の祭典。世界中からピックアップされたサッカー映画の名作と厳選された日本のサッカー映画を上映する。『サッカー本大賞2015』との共同開催。

【了】

サッカー本大賞
「高品質なサッカー書籍こそが、日本のサッカー文化を豊かにする」というスローガンのもと創設された。2015年2月11日(水)には「サッカー本大賞2015」の大賞受賞作が発表される。昨年発表された「サッカー本大賞2014」は大賞を『ボールピープル』(文藝春秋)近藤篤 著、翻訳サッカー本大賞を『理想のために戦うイングランド、現実のために戦うイタリア、そしてイタリア人と共に戦う日本人』(学研教育出版)ジャンルカ・ヴィアリ、ガブリエル・マルコッティ著/田邊雅之 監修が受賞。

<プロフィール>

佐山一郎
1953年3月7日生まれ。東京都目黒区出身。作家、編集者。成蹊大学文学部卒業後、オリコンのチャートエディターを経て流行通信に入社。1980年代前半よりアンディ・ウォーホルズ『Interview』の提携誌だった月刊『Studio Voice』編集長のかたわら、ノンフィクション短編、ラジオ、テレビ出演、新聞、雑誌における新刊評、コラムなどの執筆活動を始める。1984年からフリー。サッカーを中心とするスポーツライターでもある。哲学者森有正(1911‐1976)、ファッションプロデューサー石津謙介(1911‐2005)の長年にわたる研究者。主著書に半自叙伝『雑誌的人間』(リトルモア)、『デザインと人』(マーブルトロン)、批評的啓発書『ブレない「私」のつくり方』(山城パブリッシング)、長編バイオグラフィー『VANから遠く離れて 評伝石津謙介』(岩波書店)、本邦初のオール・サッカー本書評集『夢想するサッカー狂の書斎‐ぼくの採点表から‐』(カンゼン)など。共著に『「花子とアン」のふるさとから‐夫婦で歩く馬込文士村ガイド‐』(インプレスR&D)など。サッカー本大賞選考委員長。

後藤勝
サッカーを中心に取材執筆を継続するフリーライター。FC東京を対象とするWebマガジン「トーキョーワッショイ!プレミアム」(http://www.targma.jp/wasshoi/)を随時更新。著書に小説『エンダーズ・デッドリードライヴ 東京蹴球旅団2029』(カンゼン)がある。

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