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代表 10年前

豪州がついに“本気”に。日本が苦手な“オージー流”への回帰でアジア制覇へ挑む

アジアカップで日本のライバルと見られているオーストラリア。ここまで成績が振るわず、ファンからもその実力が疑問視されてきた。だが、指揮官は自信を見せる。これまでのパスサッカーからスタイルの変更も明言した。日本が苦手とするあの“オージースタイル”である。

text by 植松久隆 photo by Getty Images

サプライズはなしのサッカルーズ。Aリーグ得点王選出にある意図

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ティム・ケーヒルらも順当に選出された【写真:Getty Images】

 アンジ・ポスタコグルー監督がアジアカップに臨む登録メンバーを発表したのは、23日の朝だった。国内のAリーグやイングランドの各リーグが、アジアカップの選手登録期限までの間にもう1節試合を残していることもあって、ケガの有無や当落線上の選手の状態をギリギリまでチェックするのではとも思われた。

 しかし、ポスタコグルー監督は、28日からの合宿開始の前に23名のメンバーを確定させることを選んだ。そして、迎えた28日、既にリーグ戦を終えたメンバー12名がメルボルンに集合、サッカルーズは直前合宿をスタートさせた。

 ここで、今回のアジアカップに臨むメンバーの概要を簡単に振り返っておこう。23名の中で先のW杯に出場したのは16名。彼らにケガでW杯を棒に振ったFWロビー・クルーズ(レバークーゼン)を加えた17名は、不動の顔ぶれ。

 ティム・ケーヒル(NYレッドブルズ)、マーク・ブレッシアーノ(アル・ガラファ)などお馴染みの名前が揃うこのグループは、ポスタコグルー体制下で継続して招集され、彼のスタイルをよく理解する選手だけに選出は至極順当なものだった。

 それ以外の6人のうちの5人も、今まで招集されてきたメンバーで、いわゆる“サプライズ”選出ではない。ただ一人の異色の存在と言えるのが、Aリーグで得点王争いを独走する大活躍で大逆転でのメンバー入りを掴んだFWネイサン・バーンズ(ウェリントン)。

 バーンズは、ピム元監督、オジェック前監督時代に何度か代表に呼ばれ、若い頃は将来を嘱望されたが、欧州挑戦後に伸び悩んでいた。しかし、今季、隣国ニュージーランドの首都に本拠地を置くAリーグのウェリントン・フェニックスとサインして状況は一変した。

 誰もがここまでは予想していなかったバーンズの10得点の大活躍を、さすがのポスタコグルーも無視できなかった。こうして、恐らくはAリーグが始まる前の段階では監督の構想の中に入っていなかったであろうバーンズが、3年ぶりの代表復帰でアジアカップ行きのチケットを掴んだ。この抜擢は、国内組の各選手に「結果を残せば、代表の門戸は開く」ことを再認識させる非常に意義のある選出となった。

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