結果以上に内容に悔いが残ったアジア大会
「本領発揮しなくても勝てるみたいな、いい意味でも悪い意味でも、緩い試合が続いてしまった」
ドローに終わった初戦の中国戦こそ拮抗した展開だったが、2戦目以降は相手との実力差もあって順当に勝利を重ねていった。
相手のプレスは弱く、ほとんどの時間でボールを保持することができた。パスを出せば繋がり、シュートを打てば入るという表現も決して大げさではない。緊張感のある試合は少なく、その道のりはあまりにも平坦だった。そんな中で迎えた決勝戦では、苦戦を強いられることになった。
「結局、最後の北朝鮮戦というのが一番自分たちの力が試される試合やったにもかかわらず、そのまま流れで来ちゃった感じはしましたね」
選手個々の技術、スピード、球際の激しさなど、北朝鮮のレベルはそれまでの相手とは比較にならないほど高かった。相手のパワフルなサッカーの前に、なでしこジャパンは本来のプレーをほとんど出せないまま、力負けする形で大会制覇を阻まれた。
相手が強かったのも事実だが、チームにとっても阪口にとっても、準優勝は納得できるものではない。何より、その内容に後悔が残った。細かなパスを繋いで攻めるというサッカーを見せることができなかった。
「確かに北朝鮮はめっちゃ強かったんですけど、自分たちも合わせてしまった。ロングボールを蹴ってくるのに対して、自分たちも同じように蹴ってしまった。相手と同じ土俵に上がってやろうとしていたのが、大きな敗因かなと思います。
自分たちのサッカーが…、そういうのをもう少し出せていたら。
結果は変わらなかったかもしれないですけど、終わってからの自分の気持ちはもう少しマシになっていたんじゃないかなと。負け惜しみのようで嫌なんですけど」
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