首位独走も急転落。浦和の分岐点とは
ペッツァイオリの日本滞在期間は観光客より短かったかもしれない。しかし、指揮を執った13試合のうち4試合も対峙した風間八宏監督率いる川崎Fは、そのドイツ人の心に深く刻まれたことだろう。
初陣となった柿谷のラストマッチ(2-1●)、フォルランのシーズン最後のゴールを含む乱打戦(5-4●)、ナビスコ杯準々決勝第1戦(3-1●)、そして前述した等々力での第2戦で大会敗退が決まり、翌日解雇された。
シーズンで3人目の指揮官となった大熊裕司監督の就任は、少なくともフォルランにとって朗報ではなかった。スタメンから外された彼は、母国メディアに「サッカーを科学として受け止め過ぎている」と不満を吐き出す始末だった。
内部亀裂から自滅したクラブと、理屈を蹴散らして三冠を達成したクラブ。昨季は同じ都市に本拠を置くチーム同士の結果に明暗が分かれた。
ガンバ大阪もセレッソと同様、シーズン初戦のホーム浦和戦を1-0で落とし、しばらくの間は地元ライバルと下位を争っていた。しかし日本代表が惨めな思いを味わったW杯が終わり、リーグが再開すると、16位から2位まで一気に順位表を駆け上がるありえない猛追を見せ、11月22日に浦和との天王山を迎える。
浦和は豊田陽平のゴールで敗れた第2節の鳥栖戦以来ホームで負けておらず、直接対決で勝てば優勝が決まる試合だった。引き分けでも勝ち点差5のまま残り2試合を戦えたため、首位でシーズンを終えるには十分過ぎる結果だった。
しかし浦和は敗れた。チームはこの敗戦を引きずり、タイトルを狙うための平静さと自信を失った。浦和のミハイロ・ペトロヴィッチ監督は試合後の記者会見で失意の人となっており、選手たちはブラジルでの日本代表戦士のようにうなだれていた。
「まだ自分たちの優位は変わらない」「自分たちのサッカーをするだけ」
しかし、彼らの談話はただの言葉に過ぎなかった。