大分トリニータは25日、ブラジル人FWムリロ・アルメイダの加入を発表した。しかし、この選手は通常の外国人枠ではなく「アジア枠」としてカウントされる。なぜそのようなことが起こるのだろうか。
その真相は国籍にあった。ムリロはブラジル国籍に加え、東ティモール国籍も保有しているのだ。しかも同国代表の歴代トップスコアラー(6得点)でもある。
彼と同じようにブラジル人ながら「アジア枠」としてJリーグにやってきた選手は過去にもいる。現在ヴァンフォーレ甲府に所属しているキリノだ。
コンサドーレ札幌や湘南ベルマーレに在籍していたころはブラジル国籍のみだったが、中東でプレーしていた際に東ティモール国籍を取得していたようだ。
ムリロに話を戻すと、これまでインドネシアやバーレーン、ミャンマー、カタール、サウジアラビアとアジアを中心にプロとして活躍してきた25歳で、身長186cm、体重85kgの巨漢FWだ。
2011年に東ティモール代表としてデビューを果たし、これまで6得点を挙げて歴代トップスコアラーに。現在もエースとして活躍している。
東ティモールは2002年にインドネシアから独立を果たして主権を回復。サッカーの代表チームは翌年のアジアカップ予選で初めて国際舞台に立った。その後2005年にFIFA加盟を果たし、W杯予選などにも参加している。
これまでFIFAランキングでは最高182位と、誰もが予想した通り弱小国には違いないのだが、近年急激に力を増しており、2012年にはそれまで格上だったカンボジアを5-1で破っている。
その背景にはムリロのような外国籍選手の存在があり、歴代得点ランキングを見てもインドネシアやブラジル生まれの選手が上位を占めている。
かつてポルトガルの植民地だったこともあり、公用語にポルトガル語が指定されていたり、ポルトガル人のような名前の選手がいたりと、ブラジル人にとって代表チームでプレーすることに支障はない。
ムリロやキリノがどのような経緯で国籍を取得したかは不明だが、近年の急激な成長を見る限りでは、協会や国による何らかの施策があったとということだろう(キリノはかつてブラジルの年代別代表経験があるため東ティモール代表には選ばれていない)。
Jリーグ史上初の東ティモール代表選手となるムリロには国内外から注目が集まりそうだ。
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