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香川真司 10年前

データで見る香川の前半戦総括。マンU時代との比較から見えた不振の要因とは?

text by 海老沢純一 photo by Getty Images

セカンドストライカーとしての姿を取り戻すか

 チャンスメイク数にしても、1試合平均0.95回で90分平均は1.29回。パス本数では最近3シーズンでトップの数字ながら、チャンスを生み出した数では今季前半を下回った。

 振り返れば、当時の香川はイングランドメディアやファンから「積極性が足りない」「バックパスやリターンパスばかり」と批判されていたが、データ上でもそれは浮き彫りとなった。

 しかし、本来の香川は以前のコラム「香川は本当に守備が苦手なのか? ドルトムントとのスタイルの違いから見えてくるマンUでの不遇の要因」(https://www.footballchannel.jp/2014/03/02/post28874/)でも書いたように、ゲームメイカーではなくセカンドストライカーなのだ。

 つまり、“生かす”より“生かされる”タイプ。バックパスやリターンパスを交えつつリズムを作り、ゴール前で決定的な仕事をしていたとも言える。

 ところが、前述のような批判の声やファーガソン監督が「ポゼッションスタイル導入のためのキーマン」として獲得したことが報じられていたこともあって、ユナイテッドへの移籍以降、プレースタイルを変化させてきた可能性が高い。

 実際、今回出したデータを見てもシュートに関する項目が年々低下しつつある一方で、パスの項目ではユナイテッド1年目は「本数は多いもののバックパスも多い」、同2年目は「本数は少ないものの縦パスが増えた」、そして今季は「縦パス数はそのままで総本数が増えた」という状況となっている。

 今夏の移籍市場でドルトムントが補強した選手は、「セカンドストライカーの香川」ではなく、あくまでも「ゲームメイカーになろうとしている香川」だったということ。

 後半戦、ドルトムントが残留争いから抜け出すためにも香川の力が必要となるのは絶対だ。しかし、香川が救世主となるためには、再びセカンドストライカーとしての姿を取り戻す必要があるだろう。

【了】

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