充実の攻撃陣。南野に求められるものとは…
では、仮に南野が移籍した場合、安定した出場機会を得られるのだろうか。答えはいまのところNOだ。
ザルツブルクの攻撃の起点となっていたスロベニア代表ケヴィン・カンプルのドルトムント移籍が22日に発表された。ドイツで生まれ、レバークーゼンの下部組織で育った攻撃的MFは、ショートカウンター主体のチームにおいてサイドからも中央からも攻撃のスイッチを入れる決定的なパスを出すことができる稀有な存在だった。
献身的で決定的な仕事をこなせ、シュミット監督や今季から指揮を執るヒュッター監督の戦術において最も重要なピースだった彼の移籍は大きいが、前述の通り代役となりうる人材は豊富だ。ライバルたちは戦術理解の面でも南野の先をいっている。
また、ザルツブルクの攻撃陣には高い得点能力だけでなく、周囲と連動したプレッシングを完成させられる戦術理解力と献身性も求められる。初めてプレーする土地で、言葉もわからずそういったサッカーに馴染むのはたやすいことではない。
一方で、湘南ベルマーレのチョウ・キジェ監督が、自身のサッカーを構築するうえで参考にしたと言われる欧州最先端のサッカーを経験できることは南野にとって大きなプラスとなるはずだ。
今季はDF陣のメンバーが変わっていないにもかかわらず、昨季の同時期に比べて失点数が増えている。負けたら終わりのEL決勝トーナメントも控えているため、後半戦はより一層守備組織の構築に時間をかけなければならない。
J1で30試合2得点に終わり、得点力不足を指摘されていた南野は得点力アップも必要になるが、移籍後の最優先課題は周囲との円滑なコミュニケーションと、守備のコンビネーション確立だ。
主力として活躍できるようになるには、ザルツブルクが実践する“ゲーゲンプレッシング”的スタイルを習得したのち、攻撃でも結果を残していくというプロセスになるだろう。
前線の層が厚いとは言えないものの、南野と同世代の若手有望株も多いザルツブルクで生き残るには、途中出場の短い時間で毎回成長した姿を見せ、結果を残してポジションをつかみ取るしかない。
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