欧州全土の度肝を抜いた超攻撃サッカー
ザルツブルクは近年ヨーロッパのカップ戦、特にELで存在感を増しており、昨季はベスト16でバーゼルに敗れるまで10連勝。しかもオランダの名門アヤックスを2度破っている。
今季はCLこそ予選でマルメに敗れて本選出場は叶わなかったものの、ELのグループリーグを5勝1分で突破し、ベスト32でスペインの強豪ビジャレアルとの対戦が決まっている。
特に昨季の戦いは欧州全土から称賛を浴び、ロジャー・シュミット監督はシーズン終了後、ドイツの名門レバークーゼンに引き抜かれた。
なぜ彼らの戦いぶりが評価されるのか。それは戦術が非常にシンプルかつ攻撃的だからだ。
フォーメーションはトップ下を置いて中盤をダイヤモンド型にした4-4-2と中盤をボックス型にした4-4-2を試合によって使い分けている。
基本戦術は、ボールを奪われたら前線の3人、ないしは4人が相手のボールホルダーにプレッシャーをかける。これは相手がどこにいようが関係なく、全速力で猛然とボールを追いまわす。
そしてボールを奪ったところからショートカウンターを仕掛け、前線の強力2トップがフィニッシュという形だ。
特筆すべきはその攻撃力で、昨季はリーグ戦全36試合で110得点。総得点2位のグレディグに30得点以上の差をつける圧倒的な力を見せつけた。
この攻撃力の源になっているのがスペイン人FWのジョナタン・ソリアーノである。かつてバルセロナBで得点を量産していたものの、トップチームでチャンスを与えられずにザルツブルクへやってきた点取り屋は、昨季リーグ戦で28試合出場31得点を記録。
今季も17試合出場19得点と変わらぬペースで量産を続けており、最近ではこの29歳をスペイン代表に推す声もあるほどだ。
相方のアランはザルツブルクで5シーズン目を迎えるブラジル人FWで、昨季は29試合出場26得点。今季は16試合で9得点と昨季ほどではないにしろ、ハイペースでゴールを決め続けている。
さらに、サイドMFや2トップのどちらかとローテーションしながら出場するオーストリア代表の20歳、マルセル・ザビツァーは18試合9ゴール、トップ下に入ることの多い21歳のベルギー人FWマッシモ・ブルーノは16試合6ゴールと、どこからでも得点できるという強みも持っている。