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フットボールチャンネルが選ぶ2014年ベスト30。赤き血を送り続ける“浦和の心臓”阿部勇樹(5位)

2014年、J1で印象に残った選手は誰だろうか。フットボールチャンネルでは植田路生(同サイト編集長)、チェーザレ・ポレンギ(同サイトマネージングエディター)、森哲也(フットボール批評編集長)、川口昌寿(フットボールサミット編集長)、ほか編集部による投票を実施し、ベスト30を選出した。5位は浦和レッズの阿部勇樹が選ばれた。

text by 加藤友 photo by Getty Images

“浦和の心臓”阿部勇樹

フットボールチャンネルが選ぶ2014年ベスト30。赤き血を送り続ける“浦和の心臓”阿部勇樹(5位)
阿部勇樹【写真:Getty Images】

 浦和レッズのMF阿部勇樹は今季リーグ戦34試合すべて先発フル出場。同様の出場数はGK西川周作のみである。カップ戦を合わせれば、公式戦44試合中42試合に出場し、ディフェンシブなポジションにもかかわらず、出場停止は1つもない。まさにフル稼働の一年だった。

 ミハイロ・ペトロヴィッチ監督を迎え3年目の集大成として是が非でもタイトルを欲した浦和。その中でも阿部は重要な役割を担っていた。

 時にボランチとして中盤で相手の攻撃の芽を摘み、時にはCB(センターバック)として攻撃参加したDFのケア。攻撃時には、前後をつなげる、自身も前線に顔を出さなくてはいけない。この多くの役割を阿部は34試合すべてやってのけた。

 夏場の連戦ではさすがに調子を落とし、少し休養を与えるべきではないかという声もあった。それでも、ペトロヴィッチ監督は、信頼し起用を続けている。

 9月に入り残暑の厳しい中で阿部は、疲労中でも戦い抜く新たな可能性を見せる。中2日の連戦となった第25節の新潟戦。連勝中だったが、優勝のために勢いを落とすわけにはいかない。前半21分、左最後尾からたった1本のパスで阿部は先制点を演出した。前線に顔を出さずとも、最終ラインから得点を演出する阿部ならではのプレーだった。

 精神面でも阿部は、前節2位ガンバ大阪に敗北し、勝利以外では順位が入れ替わる鳥栖戦で先制となるPKを決めてプレッシャーをはねのけた。昨季と同節で同様の相手に敗れた悔しさもあっただろう。優勝への執念はキャプテンを突き動かした。

 結果的に個人として初、チームとして8年ぶりのリーグ優勝をあと1歩のところで逃し、シーズン前に「チーム全員でアウォーズに出たい」と語っていた阿部の夢は叶わなかった。

 近年、他チームからの移籍が多い中で、ジェフユナイテッド市原・千葉(当時)から移籍してきた阿部もまた、外様の一人。さらに、2010年から2年間イングランドへ渡っている。それでも今ではすっかり「浦和の阿部」として、その中心だ。

 移籍組の苦労を知る阿部は、今後もピッチ内外で“赤き血を送り続ける心臓”として、個人としても悲願となるリーグ優勝を目指す。

【了】

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