問われるリーダーの資質
先日、ようやく報道陣の取材に応じたが、それはフットサル日本代表の試合後の囲み取材を急遽行うというものだった。なぜTVカメラも入る多くの報道陣の前で、記者会見に臨まないのか。その取材は、試合の取材申請を事前にしているメディアしか対応できなかった。報道陣がかなり制限されたものだったのだ。
その数時間前には、原博実専務理事が数百人はいるであろう報道陣を相手にしていた。さらにその数日前に記者会見に応じたのは広報担当者であった。この問題を本当に重大だと思っているのであれば、何とか時間を割いて、トップの口から発信すべきだ。
フットサルの試合後というのは、どさくさ紛れに思えてならないし、選手、ファン、フットサルを取材するメディアへの礼を失する対応ではないか。アギーレ監督は近日中に記者会見に応じる予定だが、その場に会長が同席することを切に願う。
日本で八百長試合は未だ報告されていない。だが、今後も起こらぬようどこよりも厳格な姿勢で臨むことが求められる。なぜなら、危機はすぐそこまで来ている。今回のケースだけでなく、過去にも二度、日本代表が巻き込まれたことがあったからだ。
一つは2004年アテネ五輪でのガーナ代表戦。当時の主将アッピアーが金銭を受け取ったことを証言している。試合は1-0で日本が勝利(日本側は八百長に関与していない)。
二つ目は、2010年W杯直前のジンバブエ戦。八百長問題研究の第一人者デクラン・ヒルは自著『あなたの見ている多くの試合に台本が存在する』(カンゼン)の中で、この試合で審判の交代や会場・試合形式の変更がフィクサーたちの手によって行われたというFIFAの極秘報告書の内容を明かしている。日本は関与していないが、何らかの不正があったということだ。
果たして、八百長というサッカーの敵と協会はどこまで本気で向き合う気があるのか。今回の問題ではそこが問われている。アギーレ監督を解任する/しないということではなく、危機感を持って悪と戦うべきだ。
今のところ協会から、当事者意識はあまり感じられない。アジアカップ後に成績不振で監督を解任し、問題追求がうやむやになってしまうことだけは、避けなければならない。
【了】
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