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香川真司 10年前

ドルトムントはサイクルの終焉を迎えたのか? バイエルンとの比較から浮き彫りとなった低迷の要因

text by 本田千尋 photo by Getty Images

顕著となったドルトムントの戦術上の停滞

 もちろん監督交代がそのままプラスに作用するとは限らない。事実、バイエルンが監督をファン・ハールからハインケスに代えた11-12シーズンは、前年に続いてドルトムントが優勝している。しかし監督交代という点に限らず、戦術上の変化という点においては、両チームの間に大きな違いが現れている。

 確かにクロップは今シーズン、就任直後の2年間に主に採用した2トップを再び用いたが、戦術上の根本的な変化に繋がっていない。プレッシング、ゲーゲン・プレッシングを主体とするコンセプトは4年前からさほど変わっていないと言えるだろう。

 一方のバイエルンは、4年前に比べてだけでなく、同じグアルディオラの指揮下でも、この2年間で3バックとベルナトに象徴されるような戦術上の進化がある。

 ペップの3バックのように、クロップの2トップが上手く行っていればまた分からなかったように、結果論に過ぎない、と言ってしまえばそれまでではある。

 それでも現時点では、今季前半戦の対戦相手の傾向と対策を見ても、ドルトムントの低迷の要因は戦術上の停滞にある、と言わざるを得ない。

 もちろんクロップもそのことを見据えて、2トップの復権を試みたのだろう。しかし4年間という大枠で見てみれば、戦術の変化としては小さいものに留まっている。

 その意味では今季終了時の結果如何に関わらず、ドルトムントは1つのサイクルの終わりを考えるべき時に来ているのかもしれない。マンチェスター・ユナイテッドとファーガソンといった長期政権の例もあるが、やはり希有な例である。

 とは言え、今冬の合宿はクロップが指揮を取ることになるので、何か抜本的な変化を期待したいところだ。このままではドルトムントの降格は現実のものとなってしまう。

【了】

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