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長友佑都 10年前

現地メディアがキエーボ戦の長友のクオリティをあらためて評価も本人は「最後の精度が課題」

text by 神尾光臣 photo by Getty Images

攻守に持ち味を発揮した長友

 アウェイにも関わらず、マンチーニ監督はラインを高く上げて攻めさせた。そして長友も、積極的にオーバーラップを図った。16分の間までに、対面の右SBのスペースへ侵入すること3度。そして4度目となった19分のオーバーラップで放ったクロスが得点につながった。

 その後も果敢にオーバーラップを続け、23分にはエリア内で相手からボールを奪ってシュート。コバチッチやクズマノビッチも積極的にパスを付け、ほぼ3分おきにサイドを攻め上がっていた。

 その一方で、ちゃんとカバーにも戻っていた。対面のMFビルサに付いて突破されたシーンは2度あったが、それは体格差を使われて強引に持って行かれたもの。不調なときに覗かせていた、上がった後でマークすべき対面の選手を見失うことはあまりなかった。

 後半になっても運動量は変わらない。46分にゴール前に出てシュートを放った後も、思い切りよく攻め上がる。左のオープンスペースにコバチッチがボールを蹴り、誰もいないと思ったところには長友が必ず走りこむ。こうしてインテルは、長友一人を走らせて左サイドの深いところを攻略していた。

 積極的なオーバーラップを繰り返し、運動量でサイドを圧倒する姿は好調時のそれである。コンディション自体は、かなり戻ってきたと見て良いだろう。「長友もダンブロージオも小さいが、その分持ち味がある」とマンチーニ監督は語っていたが、そうした運動量は「持ち味」として認識されたはずだ。

 そういうわけで調子は戻したが、次は何を加味していくのか。本人は精度を気にしていたが、定位置をキープするためには、やはり避けて通れない課題だろう。

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