小さくなかった戦術上の貢献
グーラムの前方には、ベルギー代表のメルテンスがいた。卓越したドリブルで敵陣を切り裂く彼は単独で戦力バランスを崩すことのできる選手だが、彼はボネーラとポーリで挟み込んだ。
もし本田が自らのタスクを果たせずグーラムに攻撃参加を許したのなら、ボネーラやポーリはサイドに釣り出され、メルテンスに自由を与えることになったはずである。
しかし、それは起こらなかった。本田を前にしてグーラムは攻め込めず、味方のサポートが得られなかったメルテンスは交代。ハムシクが不調でこの日はベンチスタートとなった中、攻撃のスイッチを入れる唯一の存在を消したことが、ミランの勝利を大きく引き寄せた。それも全て本田の手柄とまでは言わないが、戦術上の貢献は小さくなかった。
「素直に喜ぶべき勝利」とインザーギ監督は語ったが、11人の一人としての本田の貢献も素直に評価されるべきものである。
とはいえ、攻撃の選手はスコアにつながる結果で評価される。それを意識しているのか、2-0となった後で本田は目に見えてゴール前でパスを要求するようになった。無得点という結果は、彼自身が最も悔しく受け止めているのではないだろうか。
左後方から入ったミドルパスにニアへと走りこみながら、左足ダイレクトで合わせようとした後半40分のボレーは難しいものだったが、ロスタイムにフリーでラストパスをミスしたプレーは勿体なかった。
CL出場権を争う相手との重要な試合で、戦力として貢献できることは証明した。本田の立場の確立には十分つながると思うのだが、ハードワークをこなした上で抜け目なくチャンスを突く“悪辣さ”が、やはり欲しい。
次のローマ戦で、さらなる成長を示すことができるかどうかに注目だ。
【了】
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