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Jリーグ 10年前

J2降格から三冠達成、花開いた「長谷川改革」。“西野流”とは異なるガンバが手にした強さ

text by 下薗昌記 photo by Getty Images

若手の登用と守備戦術

 清水エスパルスを率いた当時から若手の登用に定評あった指揮官は、既に昨年の段階から「長丁場のJ2はある程度若手が伸びて来ないと回せない」と伸び盛りの西野貴治や内田達也らにもチャンスを与え、レギュラークラスにまで育て上げていた。

 ただ、ここで強調しておきたいのは、西野元監督は世代交代を担っていた指揮官ではないと言うことだ。毎年、クラブ側から全タイトルの獲得を義務づけられた名将が目先の勝利に全力を尽くすのは当然のこと。他ならぬ長谷川監督自身も「J2でなければ、あれほど若手は使えなかった」と明かしている。

 長谷川監督の功績でもっとも評価されるべきは、やはり守備戦術の構築だろう。守備の軸として成長した丹羽大輝は「今のガンバは守備でリズムを作っている」と語る。

 そんなチームの守備力が奏効したのが、二冠目を勝ち取った最終節の徳島戦だ。勝てばほぼ地力で優勝が決まる大一番で、明らかに堅さを見せていた攻撃陣は、攻め急いではカウンターを食らうというバランスの悪さを見せていたが、最終ラインと2ボランチが懸命に踏みとどまり、スコアレスドロー。

 浦和レッズと鹿島アントラーズが守備で踏ん張りきれずに失点し、優勝を逃したのとは対照的にギリギリのところで踏みとどまった大阪の雄は、2005年の初Vとは対照的な戦いでリーグタイトルを奪還したのである。

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