2年間で築き上げた「総合力」
ナビスコカップを獲得した直後の会見で長谷川監督は「チームの皆でたすきをつないできた」とチームの総合力を口にしたが、指揮官がこの2年間で作り上げたのは文字通りの「戦闘集団」である。
かつて華麗な攻撃サッカーでJリーグを席巻した西野朗監督が指揮を執った当時のチームは「今のガンバの方がバランスは取れているかもしれないけど、あの時は先発の11人で何でも出来た」と遠藤保仁が胸を張る攻撃の圧倒感を有していた。
ただ、当時のガンバ大阪の唯一の泣き所は先発メンバーとバックアッパーの明らかな力量差。精密機械のような連動性を誇るが故に、大一番でレギュラークラスの誰かを欠くと、チームは明らかにその機能性を低下させていた。
「J2で優勝して上がるためにチームを作っていたわけじゃない。来年のJ1でしっかり戦うこともイメージしながら戦ってきた」
大言壮語を嫌う長谷川監督だけに、今年初めてそんな本音を明かしてくれたが、今季獲得してきた3つのタイトルの節目には「長谷川改革」の成果がそれぞれ象徴的に結実した恰好だ。
まずは今季初戴冠となったナビスコカップの決勝戦である。全盛期のガンバ大阪を彷彿とさせる出入りの激しいスコアでサンフレッチェ広島に3対2で勝ち切ったが、決勝点を叩き出した大森晃太郎と、その直前のシュートを放った阿部浩之は昨年の就任以来、手塩にかけて育ててきた長谷川チルドレンだ。
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