契約満了、進路未決定…。それでも前を向く92年組
他方、東京ヴェルディの92年組にも動きがあり、GKのキローラン菜入が契約満了となった。J2最終節の2日後、契約更改の席に臨み、差し出された書面には〈来季の契約を結ばない〉にマルがしてあり、金額の欄は空白だった。
「そういう世界だとわかってはいたんですが、まさか今年の自分がそうなるとは……。びっくりして、頭が真っ白とはあのことです」
双子の兄弟、キローラン木鈴はすでに契約更改を終えており、「ゼロだったよ」と告げると驚きの表情を浮かべたという。その日もふたりは一台の車に同乗し、帰途についた。
「自分よりも先に木鈴のほうが、新しい環境に飛び出していくんじゃないかなとぼんやり想像していたんですが、違いましたね。リョウたちと一緒にやれないのは残念です。でも、木鈴がいるからきっと大丈夫ですよ」
8月24日の横浜FC戦で負傷した左足の骨折がほぼ完治している。
「現在、代理人の方にチームを探してもらっています。サッカーに対する思いは、この程度のことでは揺らがない。むしろ、絶対にやってやろうという気持ちです」
また、相馬将夏(法政大4年)、南部健造、牧野修造(ともに中京大4年)、松澤香輝(早稲田大4年)の進路はまだ決定しておらず、当たりをつけたクラブの練習に参加していると聞く。あるJリーグのスカウトマンはこう語った。
「近年、大学生の獲得にはどのクラブも慎重だよ。満額で獲得しようとしたら、年俸と支度金、それに学校に支払うトレーニング費用を合わせ、トータルで約1000万円かかる。年俸480万円の選手をレンタルで2人獲れる額なんです。加えて、92年生まれの有望株は多くが高卒でプロになっているからね。来年のほうが明らかに粒がそろっている」
目玉になるだろう和泉竜司(明治大3年)を筆頭に、現3年生は即戦力級の好素材が多い。そのため各陣営とも手控えている印象だ。
そういった状況は別にして、動きを止めたらそれまでだ。山浦新(慶応大4年)と松澤は、大学最後の大会であるインカレに出場する。それぞれの可能性を追い求め、真冬のピッチを懸命に駆ける。
(文中敬称略)
【了】
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