Jリーグ史上類を見ない逆転劇で奪冠
歳月人を待たず。しかし遠藤保仁に限って言えば本当に驚きの一言である。
34歳の選手キャリアは、この夏ついに落ち目を迎えているように見えた。W杯を控えた日本代表でのポジションを山口蛍に奪われ、所属クラブのガンバ大阪でも開幕14試合でたった3勝の16位と停滞。首位浦和レッズに14ポイント差をつけられ、陰うつなシーズン序盤を送っていた。
しかし遠藤は決してブレなかった。今まで通りのことを続け、ゆっくりだが確実にあるべき姿を取り戻していった。
ガンバ大阪はリーグ再開後の最初の5試合で全勝。浦和レッズとの勝ち点差を半分に詰め、遠藤は11月に代表復帰した。
ホンジュラス戦の前半だけで1アシスト1ゴールを挙げた背番号7は、そのクオリティーを失っていないことを完全証明。ポゼッション時の平静さや効果的な長短のパスは、香川真司やハビエル・アギーレ監督が選出したどのMFも持ち合わせない存在価値を示すものであった。
遠藤の調子と合わせるようにガンバ大阪も輝き始める。サンフレッチェ広島を3-2で下したナビスコ杯決勝を皮切りに、Jリーグ史上類を見ない下位からの逆転劇によって浦和レッズからリーグタイトルを奪冠。トレブルの可能性も見えてきた。
土曜日に天皇杯決勝モンテディオ山形戦を控え、遠藤は先日のJリーグアウォーズで最優秀選手賞(MVP)に選ばれた。過去11回ベストイレブンに輝くも、意外に今回が初の個人賞授賞となった。
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