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プロ野球とJリーグともに本当の意味での「地域密着」の実現へ――『地域スポーツクラブ』が日本のスポーツ界を変える

サッカーも野球も、現在はさまざまな形で地域貢献(ホームタウン)活動や地域密着の活動が行われている。また、先日プロ野球の楽天が中学生年代のチーム創設を発表した。こういった取り組みが地域活性化につながり、「地域スポーツクラブ」としての存在価値を高めていくのではないだろうか?

text by 谷塚哲

プロ野球モデル・Jリーグモデル

 プロ野球とJリーグは、同じプロスポーツであるが、その成り立ちの経緯に大きな違いがある。

 プロ野球が戦後、日本国民の娯楽、さらには企業の広告宣伝という成り立ちで今日まで来ている一方で、Jリーグはバブル崩壊後、地域を核としたドイツのスポーツ文化を参考にスタートした。

 現在日本にはこのふたつの仕組みのプロスポーツモデルがあるわけだが、この両方にそれぞれメリットとデメリットがある。

 例えばプロ野球モデルのメリットは、親企業さえ見ていればお金の心配をすることはない。一方でデメリットは頼みの綱の企業が今では元気がない。

 企業スポーツの衰退や球団の身売問題など最近では当たり前の話である。

 次にJリーグモデルのメリットは一企業だけに頼らず(企業の景気に左右されず)、地域を軸とするために持続可能なクラブ運営が期待できる。

 一方でデメリットは、地域でスポーツを支援する土壌が日本には育っていなく、大きなお金を必要とするプロスポーツ界において資金を確保するのに大変苦労が強いられる。

 だからこそ地域密着を掲げたJリーグでさえ、現状は企業に頼りっきりのプロ野球モデルとなんら変わりないという始末である。

地域密着の重要性・持続可能なスポーツモデル

プロ野球とJリーグともに本当の意味での「地域密着」の実現へ――『地域スポーツクラブ』が日本のスポーツ界を変える
Jリーグはバブル崩壊後、地域を核としたドイツのスポーツ文化を参考にスタートした【写真:工藤明日香 / フットボールチャンネル】

 戦後、企業の内部留保が過去最高と言われている今日において、企業スポーツの撤退やプロスポーツの経営難などの話題が事欠かない。

 日本のプロスポーツモデルは、これまで企業利益が唯一の頼みの綱であったが、現代においてはその企業もたとえ収益が増えたとしても、もうその余剰利益をスポーツに投資しようとする時代ではない。

 だから今こそ日本のスポーツ界において大きな変革が求められているのである。その糸口が「地域密着」なのである。

 ではそもそも「地域密着」とは何なのか?

 子どもたち向けのスポーツ教室を開催することなのか。地域のごみ拾いをすることなのか。お祭りに選手が参加することなのか。

 このどれもが本当の意味での地域密着ではない。

【プロ野球の地域活動の一例】

(横浜DeNAベイスターズ)
神奈川県こどもデー
幼稚園・保育園 野球ふれあい訪問
ベイスターズ小学校体育授業訪問
野球ふれあいファミリーイベント
ベイスターズ野球教室

【サッカーチームの地域活動の一例】

(川崎フロンターレ)
小学校のセカンドティーチャー派遣
サッカークリニック、巡回サッカー教室
川崎フロンターレ専任コーチによる指導者講習会
レディースサッカークリニック
ミニバスケットボールなどサッカー以外のスポーツ普及
ジュニア、ジュニアユース、ユースチームなどの育成活動
ホームゲーム時のスタジアム運営をはじめ、フットサル大会や地域イベント補助活動
市内各種組合・商店街の支援する冠試合「街の支援試合」や、地元企業による支援試合「EXCITE MATCH」を実施

 これらはあくまでも地域密着を実現するための手法に過ぎない。

 地域住民が地域に愛着を感じ、誇りを持つ地域は必ず活性化する。

 スポーツを通じて地域社会が活性化すれば日本全体が活性化する。

 その核となるのが「地域スポーツクラブ」である。

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