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野球界にも影響。日本特有のスポーツモデルを転換させたJリーグの「地域密着」という発想

サッカーのみならず野球も、現在はチーム名に地域名が入るのが当たり前になった。地域に対する意識が高まった背景には、何よりも日本のスポーツモデルが大きな転換期を迎えたからである。REGISTA有限責任事業組合代表で『地域スポーツクラブのマネジメント』(カンゼン)の著者である谷塚哲氏は、今後、日本のスポーツモデルにおいて、ますます地域密着が重要になると指摘する。

text by 谷塚哲

地域密着という概念

地域スポーツクラブの表
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「地域密着」という言葉が叫ばれるようになって久しい。

 日本のスポーツ界では1993年、Jリーグの開幕により生まれた概念である。それまでの日本のトップスポーツは、企業の支援があってこそ成り立つ仕組みであった。企業スポーツさらにはプロ野球が最たる例である。

 企業の福利厚生や広告宣伝、時には税制対策の一環として、企業に「余剰利益」があったからこそ成り立つモデルであった。しかしこれらの仕組みは、あくまでも景気が上向きを前提として考えられている。

 ご存知の通りバブル景気崩壊後は、その頼みの綱である企業自体に余剰利益が見込めない。
 結果、日本特有のスポーツモデルは大きな転換期をむかえた。そんな時期とほぼ同時に生まれたのがJリーグであり、そのキーワードが「地域密着」なのである。

「地域密着」の概念は、ドイツのスポーツモデル

「地域密着」の概念は、ヨーロッパ、特にドイツのスポーツモデルを参考にしたものでる。ドイツでは日本のような学校体育という仕組みがなく、スポーツは地域のスポーツクラブの会員となることが一般的である。

 学校を卒業すると途端にスポーツをする環境がなくなる日本とは違い、子どもから大人さらには高齢者まで一生涯スポーツをすることができる仕組みだ。

 そして地域スポーツクラブの中のトップチーム(いうなれば社会人クラス)が長い年月をかけて強くなり、それがプロリーグに参戦しているのである。プロスポーツと地域スポーツは別物ではなく、むしろ地域スポーツの延長線上にプロスポーツがあると言ったほうが正しく、だからこそ皆、地域名を背負い、地域の威信をかけて戦う選手たちを地域一丸となって応援するのである。

 そのスポーツに興味のある者だけが応援するのではなく、老若男女誰もがスポーツを通じて地域を愛しているからこそ、何万人と言う人々が毎試合応援に駆けつけるのだ。

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