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Jリーグ 10年前

ここから始まる、大宮の再生。未来を照らすユースの成功。「足腰を鍛えて這い上がれ」

text by 上野直彦 photo by Getty Images

象徴的だった“降格”翌日のユース初優勝

 象徴的な出来事が降格の翌日に起こった。

 J1最終節の翌日12月7日、大宮ユースが高円宮杯U-18サッカーリーグ2014プリンスリーグ関東で初優勝を決めたのだ。すでに3位以上も確定しているので、翌週広島で開催される上部・プレミアリーグへの参入戦の出場資格も確定している。

 ここ数年、Jリーグのアカデミーの中でも、大宮と柏の取り組みは特筆すべきものがある。大宮は中村順育成部長の育成哲学のもと、徹底した指導がなされ各カテゴリーで結果を出しているのだ。

 昨年はジュニアチームがナイキプレミアカップを制覇。これは“クラブ初タイトル”となり、イギリス・マンチェスターで開催された世界大会へと進んだ。

 また今年の8月、スペイン・バレンシアで行われたU-15国際トーナメント大会に参加。スペインの育成年代における強豪ビジャレアルCFをPK戦の末、撃破している。その大会では準優勝に輝いた。

 そして今シーズンのプリンスリーグ優勝だ。

「将来的には、トップチームのスタメンの半分以上をアカデミー出身にしたい」

 と、ジュニアユースのコーチ斉藤雅人は言う。

 斉藤は“ミスター・アルディージャ”と呼ばれ、現役時代だけでなく、今も多くのサポーターから愛される存在。彼の言葉には明確なクラブのビジョンがある。多くのクラブが同じことを目指して、なかなか実現できていないのが現状だが、大宮の挑戦は成果を出しつつある。

 実は今季、育成の現場で面白い体験をした。

 ある雑誌の企画でジュニアユースのセレクションを取材させてもらったのだ。

 11歳や12歳の子供たちは、クラブが近所だから選んだのかと思っていたら、プレースタイルで大宮を選んでいる子供達が多くみられた。彼らは小さいなりに自分の夢をこのクラブに託しているのだ。
 
 確かに時間はかかる。だがゆっくりでも確実に成長を遂げた選手の何人かはトップチームに上がってくる。そうやって変化していくしか、クラブを本質的に強化することはできないように思われる。

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