浦和のアイデンティティーとは?
しかし広島のホーム・エディオンスタジアムでは、選手が次々と移籍していく度に彼らのバナーが掲げられなくなり、スタンドからチャントが響き渡らなくなる。広島サポーターがチームから大事なものを剥ぎ取られている感覚になるのも無理はない。
同時に、浦和サポーターにとってもライバルチームの選手が半分も自分たちのクラブでプレーすることに異様さを感じているに違いないし、ましてや“サンフレッズ”と嘲られることはもっと不快であろう。
浦和は日本で最も熱いサポーターを抱えている。アウェイゲームにも押し寄せ、信じられないくらい協力的だ。そのため、全員で“WE-ARE-REDS.”を合唱する瞬間は感慨深いものが伝わってくる。
何千ものサポーターが奏でるチャントがアウェイをホームに変え、浦和サポーターのクラブへの帰属意識から生み出される力強い雰囲気は、まるでライバルサポーターを畏れさせ黙らせる魔力のようだ。
しかし、彼らが叫ぶ“WE”とは何なのか? 5年間で2つのクラブから9人の選手が加入したクラブにアイデンティティーがあると言えるだろうか?
正解は分からない。最初に述べた通り、浦和の補強スタイルにもいくつか理解できる部分はあるからだ。広島から浦和への大移動は、フットボールの歴史上でも特殊なケースであり、その意味や効果を考えることに価値がある。
【了】
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