大量補強もタイトル獲得につながらず
実際のところ、クラブ間の大量引き抜きは世界中で起きている。バイエルン・ミュンヘンがその代表格だ。国内最大のライバルであるボルシア・ドルトムントの弱体化を謀るため、2013年にマリオ・ゲッツェ、続く2014年にロベルト・レヴァンドフスキ、そして現在はマルコ・ロイスを公然と狙っている。
ユベントスも1995年に当時サンプドリアに所属していたピエトロ・ヴィエルコウッド、アッティーリオ・ロンバルド、ヴラディミル・ユーゴヴィッチら3選手を同時に獲得。数シーズン後には、パルマからジャンルイジ・ブッフォン、リリアン・テュラム、ファビオ・カンナヴァーロのDFトリオを迎え入れた。
ジョゼ・モウリーニョ監督率いる2009年のインテルも当時ジェノアの中心選手だったチアゴ・モッタとディエゴ・ミリートを獲得し、欧州の頂に挑戦した。
しかし、浦和の現状は上記のものと比べ、いくつか異なる点がある。
まずは人数の違いだ。あるクラブから2、3人の選手が同じクラブに移籍することはたびたび起きていることだが、広島から浦和へは監督(ちなみに通訳も!)と6人もの選手が大移動している。
さらに、サンプドリアから3選手を獲ったユベントスや、ジェノアから複数の選手を獲ったインテルは、それらの補強を敢行したシーズンにチャンピオンズリーグを制覇している。浦和は07年以降タイトルに見放されており、実際のところ広島からの継続的な補強はピッチ上での好成績に繋がっていない。
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