「気持ちがみんな前にいってしまった」
ゴールを奪いたいという気持ちがなければ相手に打ち勝つことはできないが、この日はそれが空回りすることになった。
「慌てずしっかりボールを繋いで、相手を引き出して1点取りに行くというのが理想でしたけど、気持ちがみんな前にいってしまった。戦う気持ちはもちろん出ていましたけど、それがかえってマイナスに、ただ慌ててしまっただけになったのかなと思います」
また前半だけで昌子源、柴崎岳、土居がイエローカードを受ける事態となる。相手も厳しく当たってきており、熱くなるのは仕方な。だが、普段は冷静さを欠かない彼らにも焦りから来る苛立ちがあったのかもしれない。
優勝の可能性を残したこの試合、土居は気負うことなく平常心で戦ったという。しかし、目に見えないプレッシャーはあったように思う。これまでになかったような不用意なミスがチーム全体に目立った。
もちろん鳥栖が粘り強く体を張り、鹿島のプレー精度を削いだという側面もあっただろう。だが、必死になって戦ってくる相手にも動じず、それをいなしてゴールを奪って勝つのが本当の鹿島のはずだ。
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