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Jリーグ 10年前

「和製アンリ」からの脱皮。横浜FM伊藤翔が見せる本格派ストライカーへの進化

text by 青木務 photo by Getty Images

自己最多得点を更新

 伊藤はこれで自己最多の7点目を記録した。しかし、この数字は決して満足のできるものではないだろう。

 10代の頃から注目を集め、高校時代に参加したアーセナルの練習では高いパフォーマンスを披露。アーセン・ヴェンゲル監督からも高い評価を得た。いつしか日本では「和製アンリ」と呼ばれるようになった。高校卒業後はJクラブではなくフランスのグルノーブルへ入団。その進路も大きな注目を集めた。

 しかし、グルノーブルで不遇の時を過ごすと2010年に帰国。清水エスパルスに新天地を求めた。

 高校時代は爆発的なスピードやドリブルが注目されたが、現在はストライカーとしてのプレーに磨きがかかっている。ペナルティエリアの中で相手のマークを外し、抜け目なくゴールを陥れる。味方との連携がとれているからこそ、伊藤にボールが集まる。

 またマリノスは2列目に多彩な顔ぶれが並んでおり、彼らの力を最大限発揮させるためのスペースメイクも厭わない。

 そんな中でキャリアハイ得点を記録した。かつては未来の日本代表を背負って立つといわれた伊藤も今年で26歳。これから選手としてのピークを迎えるだろう。

 だからこそ7得点は通過点であり、今後の活躍が期待される。もう「和製アンリ」ではないかもしれない。しかし、ストライカーとして着実に成長している伊藤翔は、これからも貪欲にゴールを狙い続ける。

【了】

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