前節、史上3チーム目のホーム200勝を達成した横浜F・マリノス。この試合で唯一のゴールを決めたのが伊藤翔だ。スコアレスで迎えた58分、クロスを右足で合わせてネットを揺らした。
決して簡単なゴールではなかった。左サイドから奈良輪雄太が折り返すと、相手選手に当たりコースが変わる。その中でファーサイドにいた伊藤が懸命に足を伸ばした。
試合後、得点シーンをこう振り返っている。
「あそこにいるのもそうだし、予備動作でディフェンダーを外すのが大事。前半はヘディング1本あったんですけど、あれも似たような形というかコツを掴んだ感じはあった。その通り結果に反映されて良かった」
前半アディショナルタイムの決定機も左からのクロスだった。ファーにポジションを取っていた伊藤は中に走り込んでヘディングシュートを放っている。これは相手GKのファインセーブに阻まれたが、これが決勝ゴールの呼び水となっていた。
この試合は、マリノスにとってホーム最終戦だった。昨年は2004年以来のリーグ制覇こそ叶わなかったが、最後まで優勝争いの主役を演じた。それを考えれば今シーズンの結果は到底納得できるものではない。前節を終えて7位と中位をさまよい、悔しい1年となってしまった。
今シーズン限りで樋口靖洋監督が退任し、シーズン終了後にはクラブを去る選手も発表されていくだろう。最後のホームゲームを勝利で締めくくれたことはポジティブに捉えていい。伊藤自身もこのゴールの重要性を理解している。
「ゴールを決めてチームが勝つのがフォワードにとって一番いいのは間違いないし、今年最後のホームでいろんな人がチームから離れていくという状況で決められたのは一番良かった」