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Jリーグ 10年前

【番記者が追う】残留争い強いはずが――。昇格10年目で最大のピンチ、大宮に何が起こったのか?

text by 上野直彦 photo by Getty Images

試される底力、這い上がる選手たち

 選手達は現状をどう見ているのだろう。

 監督交代に関しては「監督交代は慣れているので方向性が変わっても対応はできる」(渡部大輔)と冷静にみている選手もいれば、ベテランの江角浩司は「大宮の色がなんなのか。そこからの監督選びというのは必要」という意見もある。

 本来ならば大宮が目指すサッカーがあり、そのサッカーを遂行できる監督を招聘するはず。だが、現状は3シーズン連続での途中交代。招聘ができる余裕もなかった。

 ただ今は悪いことを考えてもしょうがない。

「残留争いができるところまで来た」と前向きに考えるのは新人の泉澤仁。渋谷監督就任時の勝ち点・順位を考えれば最終節までに残留争いができるところまで、やっと持ち返すことができたというのだ。確かに、残留争いすらできない蚊帳の外から、ここまで登ってきたのも事実。

 では監督自身は最終節にどう臨もうとしているのか。

「負けた試合でも、最後まで試合を壊さないように戦ってきました」と、ここまでの試合をふり返った。攻守のバランスを崩して勝ちに行きたくなる状況でも、それをしなかったと。

バランスを崩して逆に得点を決められていたら、最終節を迎えるまでに降格が決まっていたかもしれない、そう考えているのだ。どうやら最終節も、攻守のバランスを崩さない采配が続きそうである。

 また監督は「攻撃は凄いと思っています。だからあとは守備」とキーポイントは守備とも考えている。この2試合は簡単にやられている。特に試合の入りと終わりとは要注意だ。

 最後につけ加えておくと、話を聞いた選手全員の口から共通の言葉が出た――「最後まであきらめない」。J1昇格からちょうど10年目の大宮、最大級のピンチを迎えて今こそ底力を見せる時だ。

 残留の歓喜を、ホームNACK5で。これしかない。

【了】

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