以前の守備力を支えていたセンターラインの強さ
最終節を前に大宮が苦しんでいる。
J1の2014シーズンも最終節を残すところ1試合。優勝争いもさることながら残留争いも熾烈を極めている。昨シーズンと同じく、1シーズン制のダイナミズムをこれでもかと見せつける展開だ。すでにJ2降格が決まっているのは徳島とC大阪。残りの一枠に入るのは、清水と大宮のどちらか。
大宮は現在16位、その1つ上に勝ち点3差の清水がいる。つまり清水は勝つか引き分けるかでJ1残留を自らの手でもぎ取ることができる。一方、大宮はC大阪に勝ち、清水が甲府に敗れるしかない。現段階では圧倒的に清水が有利だ。
今まで何度となく残留争いを繰り返してきた大宮。しかし、こういったどん底の状態から大宮は地力を発揮して残留を決めてきた。何度も何度も。だが、今季は何かが違う。今シーズンは初めて『他力』が必要となってしまった。残り3節となったホームNACK5スタジアムでの柏戦でも、チームの調子は上がらず敗戦。
柏戦は試合内容もよくなかった。特に守備の安定感のなさは、ここ5試合に共通していえることだ。そもそも大宮の守備力は「センターラインの強さ」にある。
かつてJ1昇格に導いたドイツ帰りの三浦俊也監督もこれを重視。CBにはトニーニョと奥野誠一郎という鉄壁の二人を置いた。トニーニョは後にボランチとしてもプレーする。佐々木則夫監督(アルディージャ改称時の初代監督)もこの点を第一番目に考えた指揮官だ。
大宮ではないが、なでしこジャパンではボランチに澤穂希を起用し守備戦術を一変、世界一へと輝いた。また、ベルデニック監督はダブルボランチの組み合わせを試行錯誤し、青木と金澤という最高のコンビを生んだ。一時期ではあるがクラブ史上初のJ1首位へと導いている。
ところが、小倉勉監督以降にはほぼこれが見られない。